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心のホッとコラム ~K-TASのカウンセラーから~

自然のなかで

不便をたのしむ

自然のなかで過ごそうと、時に私はキャンプに行くことがあります。便利な生活に慣れた私にとって、キャンプはわりと不便なものです。そのため、ないモノを今あるモノで代用して工夫します。ロープは物干しから命づなまで万能役者、ドレッシングは代用が利く調味料、暑い日は水辺にテントを張ればクーラーがわり、薪や石は熱くて重い鍋や荷物の置き場に具合が良いなど…。そうした工夫がささやかなよろこびです。最近はホテル並みに整ったグランピングという流行りの野外スタイルがあるそうです。私があえて不便なキャンプを選ぶのは、自分の中で新しい発想ややり方が創られるたのしさにあります。

 

自然にゆだねる

街から離れた山や海で過ごしていると、日ごろ気づかないささいなことが浮き立って感じられます。お腹が空くと虫の居どころが悪くなるとか、スコールの時は避難してじっとするより他ないとか、晴れて服が乾いているとうれしいとか、雨の翌日に炭火が安定してほっとするとか、なんとかなると思っているとそうなる場合が多いとか、あの雲のカタチは明日は降られないかなとか…。天候や気持ちについて自然に起こることとして受け入れながら過ごします。いつもそんなふうに思えるわけではありません。自然にゆだねる心地でいると、単純なできごとをありがたく感じたり、五感をつかって楽しみながら予測する力が育つように思います。たのしみながら気づけるのはとてもうれしいことです。最近購入したローラ・インガルス・ワイルダー著、安野光雅訳・絵の『小さな家のローラ』(朝日出版社. 2017)には、大自然を受け入れながら、工夫を重ねて過ごす家族が目に見えるように描かれています。よかったら手にしてみてください。

 

私のこと

自己紹介を忘れていました。大草心理臨床・教育相談室でお世話になっている辻孝弘と申します。小学校では毎年「落ち着きがない」と成績表に書かれました。鼻くそをよく食べていましたが、最近それが免疫機能に良いと聞いて、もっと食べておけばよかったと思います。大学の時分に体を動かすのが好きだと自覚して、「体を動かすことで物事を理解しようとする資質」があったと最近気づきました。縁あって引越し屋に勤めた時期があり、さらに体を使うことになりました。毎日、異なる地域へ荷物を運び、その土地の雰囲気や家族の生態を内側から観る機会に恵まれました。少しそのことに触れると、家族にとって引越しは大ごとで非日常です。自分たちのことでてんてこ舞いの家族にとって、引越し屋は便利な道具です。こちらは良い道具になるために、誰が力を握っているか、梱包の仕方が丁寧か雑か、趣味、仕事、引越しを喜ばない人は誰かなどなど…アンテナが生えてきます。特に私は家族の中に必ず弱き立場があることにも気づいていました。それは大人や子どもは関係ありません。荷物を運びながら、弱き者が一家のバランスを支えている一面があることを体感的に理解していた私は、その人にふと笑ってもらう工夫をするのが趣味でした。ここにも工夫が出てきましたが、こうした体験も今の私の臨床に活かされていることは間違いないでしょう。

辻 孝弘

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